選手交代

　　
金曜夜から土曜夕方の出張まで、久しぶりにお泊まりだった彼、金曜ディナーのお酒は、超ハイペース。

生ビールはたった一杯で、アッという間にいつもの4合瓶をオーダー。

この麦焼酎、はだか麦を使った珍しい物で、香ばしくスモーキー、粗野な後味がスコッチに通じていて、二人のお気に入り。

「今日こそ、残して帰ろうね」

「また・・。いつもたくさん飲むのは○ちゃんだろ。少し控えてくれたら残るよ」

顔馴染みの店員さんが、ロックグラスに注いでくれながら

「今日こそ、ですか。楽しみにしています（笑）」

湯葉やお豆腐、季節の野菜や鴨や干物の炙り物と、どんどん食べながら、仕事の話やグチ、友達の近況とおしゃべりも弾む。

どんどんグラスも空になり・・

「ね、もう4杯目だよ。私はまだ2杯。酔ってるんじゃない？」

「えー、よくわかったね。今日は選手交代、ボクがたくさん飲むの」

「・・・」

「シャンプーも頼むねー」

もちろん空にして、締めのお蕎麦も頂いて、ごちそうさま。

外に出た彼が、肩を抱き頬も寄せて、上機嫌でささやく。

「逢いたかったよ」

「愛してるよ」

店の外で見送ってくれてる店員さんがまだ見てるよ・・・